日本の観光地にとって、最大の資源は何かと言われれば、それは「人」であるのではないかと感じた2泊3日の白馬の旅。
白馬で過ごした時の写真の整理が追いつかないので、滞在日記はまた別途アップするとして、白馬で過ごした2泊3日は精神的にも落ち着きを取り戻せた時間であり、そして、観光資源というものについて考えさせられた時間でもあった。
やっぱり僕は雪国というか、山が好きだ。
さて、
雪国での生活というのは、人々の助け合いなしには成立しない。
大雪が降ったら、お互いがお互いを心配し合い、雪かきを手伝い合ったりする。
「自分さえよければそれでいい」なんて気持ちでいたら、それが真面目に命取りになりかねないことだってありえる。
白馬入りした日は、全く雪がなく「今年も暖冬かな」なんて思っていたのだが、その夜から雪が降り始める。
白馬ではこのレベルの雪ぐらいでは大雪とは言わないのだろうが、それにしても「これぞ白馬」という雪。
あっという間に50センチは積もるぐらいの勢い。
そんな状況だったこともあって、実は数回、駐車場から車が出られなくなるというアクシデントに遭遇。
もちろんスタッドレスタイヤだし、雪国育ちでもあるので、それなりに雪道の運転の心得はある。
だけど、この雪の多さと、地理感がない事、久々の雪道運転というシチュエーションが重なって、
自分の車を駐車場から移動できないことが何回かあった。
そのたびに、フロントの方やスタッフの方に助けを求め、なんとか車を動かすことができた。
スタッフの皆さんは、それぞれ自分の仕事があるにも関わらず、嫌な顔一つ見せず、すぐに駆けつけでくださり、
どうしたらこの状況を脱することができるかと知恵を絞って頂き、そして実際に体を動かして頂いて、
僕の車を救出して頂いた。
「お客さんだから」とか、「上から言われたから」とか、そういう「やらされている感」じゃなくて
「雪の中で困っている人がいたら助けることが当然」ぐらいの感覚で助けていただいているような雰囲気すら
感じた。
僕はただただ横で見ているしかなく、無力感を感じたりもしたが、むしろ、ここは甘えさせて
いただき、とことん助けて頂こうと思っていた。
雪に慣れていない自分が、偉そうなことを言ったり、無駄なことをしたら、かえって邪魔になる。
だったら逆に、助けて頂いている方たちの指示に従って、自分のできる事をできる範囲でやろう。
そう思った。
滞在したヴァイサーホフ八平の皆さんには、そんな感じで本当にいろいろとお世話になったけれど、
一番感じたことは「本当のおもてなしの気持ち」ということ。
滞在中、作られた感を感じた事はなかったし、某所がやっているような無意味なサプライズもなかったし(笑)
失礼かもしれないけれど、接客や施設がすごく鮮麗されているわけでもないけれど、
だけど、一つ一つの対応、一言一言から「来てくれて本当にありがとう」という気持ちを感じた。
「歓迎されているな」って思える。
良い意味での家族経営的なところがあって、まさにこれはホテルではなくペンション。
そして、押しつけのおもてなしではない、「お客さんに選択権と自由を与える環境を作ることこそが
おもてなし」という空気を感じたことが、一番心地よかった。
Macさんの紹介だからといって、変な特別対応もなかったし、それもすごく良かった。
「○○さんの紹介だから、仕方なく特別対応していますよ」っていうのって、すぐにわかっちゃいますもんね。
ある外国人が、自分で勝手に暖炉に火を入れて、その前で一人ワイングラスを傾けていた。
そんな様子を、絶妙な距離感で見守っているスタッフの方。
僕も同じ事がしたくて(笑)無理を言ってワインボトルとグラスを暖炉の前に準備していただく。
その時も、僕たちがいかにくつろげるかを一番に考えてくれて、いろいろと対応してくださった
スタッフの方には、本当に感謝している。
勝手に暖炉に火を入れたりもして、好き勝手やらせていただけたのも、そうしても良いと思える
雰囲気があったことが大きい。
雰囲気とか空気感は、マニュアルには絶対にできない。
白馬は、例えばスイスのマッターホルンのように、圧倒的な観光資源としての「場所」や「もの」が
あるわけではない。
もちろん雪質とか、ゲレンデの完成度とか、そういう意味での観光資源は揃っているけれど。
だからこそ「人」が観光資源そのものになる。
「あの人と話せて良かった」
「あのペンションに泊まって良かった」
「白馬に行って良かった」
「困っているときに助けてもらった」
「自由にさせてもらって嬉しかった」
そう思える全ての根拠は「人」である。
今回の僕の例で言えば、ヴァイサーホフ八平の皆さんと出会えたことこそが、白馬を満喫できた
一番の満足度の本質だと言える。
そのほかにも、Macさん一族巡りの旅だったこともあって、Macさんオススメポイントは全て制覇したけれど(笑)
その全ての場所で本当の「おもてなし」を感じた。
書き出したらきりがないぐらい多くの気持ちよさを感じた。
名木山ゲレンデのロッジでのパンと、そのロッジの雰囲気。
AZというカフェレストランでの粋な心遣い。
喫茶店でのメニューのこだわり
などなど、そのどれをとっても「人」が最大のポイントになっている。
観光立国日本というスローガンがあると聞いたことがある。
そうしたいのであれば、箱物に力を入れるのではなくて、「人」の育成や、
人の気持ちにもっともっとフォーカスすれば、きっと日本も、世界で有数の観光立国になれるんじゃないかと
偉そうなことを思ったりもする。
そして白馬も、ヴァイサーホフ八平のみならず、全てのホテル、ペンション、ゲレンデで
「人」が活躍し、本当のおもてなしをしていただける場所であり続けて欲しいと思う。